歌手で音楽プロデューサーのつんく♂さんが
母校の近畿大学の入学式に登場して、
喉頭がんの治療のため声帯を摘出したことを明かしました。
僕自身、つんくさんの楽曲は昔からよく耳にしてきたし
彼自身の活躍もよく知っているので
非常にショックを受けました。
誰にとっても声を失うことは耐え難い苦痛です。
普通に話すということができなくなるわけですから。
それが、声を売りに生きてきた歌手ともなれば
その絶望感はどれほどのものになるんでしょうか。
自分が一番頼りにしてきたものを奪われること、
それ以上につらいことはありません。
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つんくさんの祝辞全文を読む
これまで自分が築いてきたすべてを失うほどの絶望感が
あるのではないかと想像しますが、
その中で、入学生に送った答辞は圧巻でした。
全文引用します。
平成27年度 近畿大学にご入学の皆さん 入学おめでとうございます!この大学の卒業生でもあります私「つんく♂」と申します。
正直言いましょう、今日のこの入学式には、近畿大学にひっしのぱっちで入学した人。狙い定めた入った人。結果的に(滑り止めで)近畿大学に入った人。いろんな人がいるでしょう。
でも、あなたにとってどの大学が正解だったんでしょうか…それはわかりません。ただ、ひとつ言えるのは、この先の人生で、あなた自身が「ああ、この大学に入ってよかったな。」という道を歩めば良いんだと思います。
なぜ、今、私は声にして祝辞を読みあげることが出来ないのか…それは、私が声帯を摘出したからです。去年から喉の治療をしてきていましたが、結果的に癌が治りきらず、摘出するより他なかったから、一番大事にしてきた声を捨て、生きる道を選びました。
そんな私に、「今年も近畿大学の入学式のプロデュースをお願いしたい!」と、この大学から依頼がありました。その時に思いました。「ああ、この大学を卒業してよかったな。こんな私がお役に立てるなら精一杯頑張ろう!」そう心に思いました。昨年末から何度も大学とメールでやり取りしたり、スタッフが伝言してくれたり、を繰り返しつつ、今日、この日を迎えました。
KINDAI GIRLSの皆さん、吹奏楽、応援部の皆さん、その他たくさんの学生の皆さんが、今日の日の為に夢中でレッスンしたり、準備してくれました。「みんなで一緒に新入生を迎え入れよう!」と。
ここまでの人生はもしかしたら受け身だった人もいるかもしれません。親が言うから…学校の先生がすすめたから…でも、もうすぐ皆さんは成人します。もう自分の人生を歩んで行くんです。後悔しても意味がないんです。今から進んでいくんです。自分で決めて進んで行けば、絶対に何かを得、そしてまた次のチャンスへと繋がっていくんだと思います。
私も声を失って歩き始めたばかりの1回生。皆さんと一緒です。こんな私だから出来る事。こんな私にしか出来ない事。そんな事を考えながら生きていこうと思います。
皆さんもあなただから出来る事。あなたにしか出来ない事。それを追求すれば、学歴でもない、成績でもない、あなたの代わりは無理なんだという人生が待っていると思います。
近畿大学はどんな事にもチャレンジさせてくれます。だから何もしなかったら何もしないなりの人生をチョイスすることになるし、自分で切り開いていく道を選べば、きっと自分を大きく育てるようなそんな大学生活になるでしょう。
仲間や友人をたくさん作り、世界に目をむけた人生を歩んでください。私も皆さんに負けないように、新しい人生を進んで行きます!
だから最後にもう一度言わせてください。皆さん、近畿大学への入学、本当におめでとう!「ああ、良かった!」と思える大学生活をセルフプロデュースしてください!
そして、今日のこの出会いに感謝します。ありがとう!
平成27年4月4日
近畿大学入学式プロデューサー
つんく♂
つんく流の生き方に期待
音楽業界の一時代を制して、まだまだ活躍できると思っていた矢先に
声を失って…という落差をみんなが理解しているからこそ、
彼のメッセージは非常に胸を打ちます。
消しようがない絶望感があるはずなのに、
こんなに強く、前向きになれるのか。
そう感じることで、月並みですが
「自分も頑張らないと」という素直な思いにさせられます。
「私も声を失って歩き始めたばかりの1回生」
この表現は、答辞の中で一番好きです。
きれいごとばかりでは片付けられない
どうしようもない辛さがあると思いますが、
その中で精一杯、できることを探していこうという決意を感じます。
これまで社会に色んなメッセージを訴えかけてきたつんくさんは、
これからどんな2回生、3回生になっていくんでしょう。
影響力のある著名人だからこそ、
彼の生き様は、本当に多くの人に勇気を与えるはず。
答辞で触れられている通り、彼にしかできない生き方がきっとあります。
つんく流のやり方でどんな人生を積み重ねていくのか、
注目させてもらいたいと思います。