社会福祉士兼ライターの紙月日記

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【解説】「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」を読む5つのポイント<上>

2015年3月6日

福祉系のブログだとちらほら話題になっていますが、
日本社会福祉士会のホームページで、
「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(日本語訳確定版)
が公開されています。

むむむ。これは社会福祉士国家試験にも関係ある匂いがする。
というわけで、細かく取り上げておきましょう。

これってそもそもどんなもの? みたいなところから、
これまでのソーシャルワーク(SW)定義との違いなど、
自分なりに読み解いてみたいと思います。

SWの定義ってなに? 改訂する理由は?

国際的な議論の上でとりまとめられた文章

まず、今回テーマにしているSW定義とは、
国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)が定めているものです。

全世界からSWの団体が加盟し、議論を通して定められているので、
まさにSWにおける統一的な定義、といっていいものだと思います。

いってしまえば、全世界のSWにとっての憲法、困った時に戻る場所
みたいなものではないでしょうか。

これが新旧のSW定義だ!

さて、あんまり前置きが長くても退屈なので、
さっそく定義の紹介に移りましょう。

まず旧定義。これは2000年7月、モントリオールであった
IFSWの総会で採択され、2001年に日本語訳が確定したものです。
(以下00年版定義と呼びます)

ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人びとのエンパワーメントと解放を促していく。ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。

そして新定義。
こちらは2014年7月にオーストラリアのメルボルンでの総会で
採択された定義を、日本国内のSW関係団体でつくる
「社会福祉専門職団体協議会」が日本語訳したものです。
(日本語訳の確定版が出されたのが15年2月)

ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。
この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。

文章の長さも違いますが、文言も結構変わっているのがわかります。

そして実はこの定義、見直しはこれが初めてではなく、
00年版の前身として、1982年の定義が存在します。

その定義がこちら。

‘Social work is a profession whose purpose it is to bring about social changes in society in general and in its individual forms of development'

正式な日本語訳を見つけられなかったのですが、直訳すると、
「ソーシャルワークは、社会一般および個々人の発達を形作る社会変革を
もたらすことを目的とする専門職である」

といった意味でしょうか。

00年版と比較してもずいぶんシンプルですね。

社会の変化に合わせてバージョンアップ

1982→2000→2014年とみていくと感じ取れるように、
IFSWの定義は改訂されるごとに、
そこに盛り込まれる内容が増しています

十年ひと昔と言いますが、社会の移り変わりは急激です。
絶えず新しい社会問題が起こり、SWの対象となる人々が発見されます。
特に生活様式も複雑化した現代社会においては、
そのスピードは昔より急激になっているのかもしれません。

で、最初に言ったように、このグローバル定義って
全世界のSWが行動の指針とすべきものなわけじゃないですか。

そうなると、社会の変化に応じて当然、色んな人から
「こんな考え方を盛り込むべきだ」という声がでるわけで、
その要請に応える形で、定期的な改訂がなされているんですね。

その証拠というか、00年版の定義には、
文書の最後の最後にこんな注釈がついています。

ソーシャルワーク専門職のこの国際的な定義は、1982年に採択されたIFSW定義に代わるものである。21世紀のソーシャルワークは、動的で発展的であり、従って、どんな定義によっても、余すところなくすべてを言いつくすことはできないといってよいであろう。

「どんな定義でも余すところなく言いつくすことはできない」

いや~、なんとも味わい深い一文。その通りですね。
きっと今回の14年版定義も、また時代の要請を受けて
将来的に改訂が加えられることでしょう。

…と、ここまででかなり長くなってしまいました。

定義とその背景についてのお話しはここまでで、
いよいよ分析に入ろうかと思いますが、
もう少しかかりそうなのでこちらに続きます。

「5つのポイント!」とか言っといて
そこまでいけずにごめんなさい。。。

ではでは。

===

ソーシャルワークのグローバル定義、
日本語訳確定版の原本を確認したい方はこちら
00年版定義を確認したい方はこちらから!
1982年版については、英語ですが、このあたりの記述で一応確認できます。

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