性的少数者(LGBT)の就活について書いた先日のエントリーで、
LGBTが国民に占める割合は5.2%
と試算した電通総研による2012年の調査結果を紹介しました。
この調査から3年が過ぎ、電通が再びLGBTに関する調査を実施!
今回の結果では、なんとLGBTの割合は7.6%へと拡大しました。
本日はこの調査についてご紹介したいと思います。
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割合が増加した背景は「LGBTという概念の浸透」?
まず今回の調査の方法についてみてみましょう。
調査主体は、社会の多様性の課題を調べる電通の組織
「電通ダイバーシティ・ラボ(DDL)」。
このDDLが、全国に住む20~59歳の個人を対象に
4月7~8日の2日間、インターネットによる予備調査を実施。
回答者層のスクリーニングをしたうえで、さらに9~13日、
スクリーニングされた対象者の中から900人を抽出、
再びインターネットによる本調査を実施したということです。
この調査ではLGBTについて、
セクシュアリティを「身体の性別」、「心の性別」(自分は男だ、女だという性自認)、「好きになる相手・恋愛対象の相手の性別」の3つの組み合わせで分類。
DDL独自の「セクシュアリティマップ」を元に、
ストレート(異性愛者で、身体と心の性別が一致している人)セクシュアリティである図内②(ストレート男性)と、図内⑩(ストレート女性)と答えた人以外をLGBT層と規定しています。
(↑セクシュアリティマップ。プレスリリースより引用)
その結果が、先ほどもご紹介した
国内におけるLGBTの割合は7.6%という試算で、
2012年調査時点の5.2%から比べると増加しています。
DDLによる分析では、
「調査手法が同じではないため単純比較はできないが、
LGBTの概念が社会的に広まったため、自分がLGBTだと
認識する人々が増えた可能性もある」
ということだそうです。
LGBT層の市場規模は5.94兆円?!
さらに、前回の2012年調査をもとにして
経済紙の週刊ダイヤモンドが「LGBT層の市場規模は5.7兆円」
とする試算を公表していましたが、
今回の調査結果では、DDL自身が市場規模の試算を行っていて、
LGBT層の商品・サービス市場規模は5.94兆円とする結果が出ました。
どういう計算方法なのか、こちらも詳しくはわかりませんが、
DDLによるニュースリリースから引用すると
一般家庭において消費金額が大きく、また消費者の嗜好によって商品選択の変更が比較的容易な22の商品・サービスカテゴリーを選択し、総務省の家計調査と家計消費状況調査のデータを踏まえ、LGBT 層の当該カテゴリーにおける消費状況を加味して算定した
ということだそうです。
国民のクレジット消費額のデータをもとに市場規模を試算していた
週刊ダイヤモンドの場合と、ほぼ同規模の数字が出ているので、
試算としてはある程度整合性がとれている、ということなんでしょうか。
電通が名付け親! 今後注目の「レインボー消費」
電通はこのLGBT層の市場について、
今回の調査を受けて「レインボー消費」と名付けました。
レインボー(虹色)というのはLGBTにとって特別な色で、
複数の色が共存している様子にLGBTの多様性を重ね合わせ、
虹色を染め抜いたレインボーフラッグは、
LGBTの社会運動の中で、象徴的な存在として長く掲げられてきました。
こういう経緯をきちんと踏まえて命名するあたり、
やっぱり広告界のガリバー・電通の感性はさすがですね。。。
電通が動けば社会が動く、というのはよくあることですが、
今後、この「レインボー消費」をターゲットにして
様々なキャンペーンをしていくかもしれません。
そうなればLGBTの問題が広くクローズアップされることになりますので、
私たち社会福祉に関わる人間も、この機会をとらえて
本質をうまく伝えられるように準備したいものですね。