「精神科施設のメシはまるで豚のエサ」
「いつかグループホームを爆破してやる」
「少しばかりの敬意と平等が欲しい」
「権力者はペテン師だ 俺たちを閉じ込める」
これは、決して僕が思っている内容ではなく、
フィンランドのパンクバンドが歌っている曲の歌詞だ。
「Pertti Kurikan Nimipäivät(ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァット)」
というバンドなのだが、タイトルにも書いた通り、
このバンドはメンバー4人全員が知的障害者である。
作詞・作曲もメンバーの一人がこなしている。
つまり、バンドが歌うこの歌詞は、
知的障害者たち本人の心の叫び、ということになる。
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先入観をぶち壊すパンクな映画
僕がこのバンドを知ったのは、山形国際映画祭で
「パンクシンドローム」という映画を見たから。
大した事前情報もなく見たのだけど、
「なんだこれ、やべぇ!」とかなり心が揺さぶられた。
何というか、あまり障害者についてよく知らない人にほど見てほしい。
「障害者ってかわいそう」
「弱い立場だから守ってあげなくちゃ」
建前はどうあれ、多くの人の心の奥にきっとあるこんな思いを
バッキバキに壊してくれると思うから。
映画に出てくるメンバーは、
けっこう怠惰で、性欲に正直で、すぐ喧嘩をする。
生活するうえである程度のサポートは必要だけれど、
要は、その辺にいる普通のオトナとおんなじだ。
映画を見るか、彼らの音楽を聴けばきっと、
あれ、なんか思ってる障害者像と違うな?
実は俺って本当の障害者について、なんも知らないんじゃないか?
…って心がざわつくはず。
彼らの音楽が良いのか悪いのかは
僕は普段ほとんど音楽を聴かない人なので
いまいち評価ができないけれど、
情熱に従い、ありのままを叫んで歌うのが「ロック」なら、
彼らの曲はまさしくロックでパンク間違いない。
そして、その歌詞が人の内面をざわつかせるという意味では、
やっぱり良い音楽なんじゃないかな、と個人的には思う。
映画は最近になって全国でもぽつぽつ公開されているようなので
機会があればぜひご覧あれ。