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【解説】妊娠・出産・復職 1年以内の降格ダメ! ~マタハラをめぐる厚労省通知を読む~

女子社員「課長、わたし、妊娠したんです!」

課長「それは体が大事だね、仕事を辞めたほうがいいんじゃない?

男性社員「産休になったらしわ寄せがこっちに来るよ。やってらんねー

女子社員「……」

実際はここまで露骨なアホな職場などないと願いますが、この例にあるような、
妊娠した女性が職場で精神的・肉体的ないやがらせを受けること
マタニティ・ハラスメント、略してマタハラと呼びます。

ここ1~2年くらいでちょいちょい聞くようになった単語ですが、
社会的な認知度はまだまだです。

ですが、その被害は深刻で、少子高齢化を食い止めるためにも
マタハラの撲滅は国にとって急務になっています。

そんな折、厚労省がマタハラに関するある通達を出しました

実はこれ、マタハラ被害をめぐるかなりホットな動きで、
今後もますます注目されること間違いなし!

いったいどんな内容なのか、背景も含めて解説します。

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増えているマタハラの被害相談

日本には「男女雇用機会均等法」と「育児・介護休業法」という法律があって、
この二つの法律によって、妊娠や出産、育児休業などを理由とする
不利益な取り扱いをすることは禁止
されています。

ところが、実際はその精神が守られているとはとても言えず、
働く女性からはひっきりなしに労働相談が寄せられています。

2013年度に厚労省都道府県労働局雇用均等室に寄せられた相談のうち、
婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関するものは
3663件で17.1%を占め、前年度から269件増加したそうです。
(詳細はコチラ

このように、マタハラをめぐる被害の訴えは増加傾向にあります。

そんな状況のなか、昨年10月に最高裁で画期的な判断が示されました。

おさえておこう! マタハラめぐる最高裁判決

元々の始まりは、妊娠によって不当に降格させられたとして
広島の理学療法士の女性が、勤務先の病院に慰謝料などを求めて訴えたこと。

一、二審の判決では
「降格には女性の同意があって、病院は裁量権を逸脱していない」
と判断されて女性側が敗訴したのですが、

昨年10月23日、最高裁の第一小法廷(桜井龍子裁判長)が
「女性は不十分な説明で渋々降格を受け入れた」と指摘。

降格に女性の同意がなかったうえ、職場が降格を命じざるを得ない
特別な理由があったかについては「審理が尽くされていない」として、
女性が敗訴した二審判決を破棄し、広島高裁に差し戻しました。

この辺の流れは裁判に詳しくないと理解しづらいかもですが、
「降格に女性の同意があって、しかもそれをしないといけない
特別な事情があるなら降格は認められる」
と最高裁が基準を明示したうえで、
「この事案は当てはまらない。高裁よ、審理をやり直せ!」と命じたのです。

マタハラをめぐって最高裁が判断を示したのはこれが初めて。
最高裁の判断=法律解釈の正解、なわけですから、
この日を境にして、色々な事態が一気に動き始めました。

「時期を重視」する考え方を示した厚労省通達

行政のお仕事は法律の順守が命。
最高裁判決を受けて、厚労省がさっそく動きました。

約3か月後の今年1月23日、
男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の従来の解釈を
一部改正する通達を出したのです。(原文はコチラ

この通達の一番のポイントは、
「妊娠・出産・育児休業を取得した時期と、不利益な取り扱いを行った時期が
近接している場合は、妊娠などを理由に不利益な取り扱いをしたと解釈する」

として、時間の流れに即して客観的に判断する考え方を打ち出したこと。

そしてさらについ先日の3月30日、厚労省がこの「時期」の問題について
さらに明確な判断を示しました。

改正された通達をめぐるQ&Aを公表し、その中で
「時間的に近接しているとは、具体的にどう判断するのか」という問いに
「妊娠・出産・育休等の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合」
と回答し、明確に1年間という期限を示したのです。(原文はコチラ

まとめると、こういうことになります。

妊娠・出産・育休等を終えてから1年以内に不利益な取り扱いがあった場合は、
それは妊娠・出産・育休が原因となって行われた行動であると判断する。

つまり、1年以内に不利益な取り扱いをしたら、それはマタハラ。
例外的に認められる条件を満たしていない限り、
会社側は違法な行為をしたと認定される、ということです。

女性の働く環境を改善させる契機に

これまでマタハラ関係の訴訟の場合、
会社側が妊娠などを理由に不利益な人事をしたことについて
原告の女性側が証明する必要がありました。

ところが、この通達とQ&Aによって、事情は一変するはずです。

会社にとっては、まずい人事異動を言い渡せば
それはそのまま訴訟リスク(しかも敗訴濃厚)につながるわけで、
会社全体として、真面目に対策を考えるようになるでしょう。

なんとか抜け道がないか探る悪い会社もありそうですが、
不利益な取り扱いができないなら、どうやって女性に活躍してもらうのか
これまでより本気で考える企業も増えてくるはず
です。

まだまだ安心できる状況ではとてもないんですが、
少なくともマタハラ撲滅への大きな一歩が刻まれたことを
ひとまず喜びたいと思います。

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    紙媒体を中心に書くライター。
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