マンションやアパートなどで、
一人暮らしの高齢者が誰にも気づかれずに亡くなっている――。
そんな「孤独死」の事案について
「身近な問題だと感じる」と答えた高齢者が
単身世帯で4割を超えたことがわかりました。
12日に閣議決定された「平成27年版高齢社会白書」に盛り込まれました。
これ、いかにも試験に出そうな内容でもありますし、
きょうはこの内容をご紹介します。
急増する「一人暮らし高齢者」
65歳以上の高齢者がいる世帯は、2013年現在で2242万世帯。
これは全世帯(5011万2千世帯)のうちの44.7%を占めています。
こうした高齢者のいる世帯のうち、
最近顕著に増加しているのが「一人暮らし高齢者」。
白書によると、1980(昭和55)年には
男性4.3%、女性11.2%だったものが、
2010(平成22)年には男性11.1%、女性20.3%まで
急増したということです。
こうした社会情勢を受けて
最初にご紹介した孤独死の問題が深刻になっている、
というわけですね。
会話の少ない人ほど危機感が顕著な傾向
そして、白書の中で紹介されているのが
「孤独死を身近に感じるか」という意識調査の項目。
65歳以上の一人暮らしの男女に対して
「とても感じる」「まあ感じる」「わからない」
「あまり感じない」「まったく感じない」の5択で回答を求めたところ、
「とても感じる」「まあ感じる」と答えた割合
(つまり孤独死を身近に感じている割合)が、
計44.5%にのぼったことがわかりました。
さらにその回答を会話の頻度に応じて分析してみると、
毎日会話する人は38.2%だったのに対して、
1か月に1~2回程度しか会話をしない人では
63.4%にのぼり、会話の多い人と少ない人では
危機感に2倍近い差が認められました。
普段他人と会話する機会が少ない独居高齢者は
「このまま誰にも気づかれずに死んでしまうのでは」
という危機感を持つことが多いという状況が浮き彫りになった形ですね。
「最期への備え」、していない人が4割
同じ意識調査のなかで、終末期医療や葬儀、お墓についてなど
「最期の備え」をしているかについても聞いていました。
同様に65歳以上の一人暮らしの男女が質問対象なのですが、
こちらについては約4割の層が
終末期医療・葬儀・お墓のどれについても
「考えていない」と回答していました。
クロス集計のデータは公表されていないようなので、
「孤独死に危機感を感じている人」ほど「最期の備えをしている」のか、
それとも「危機感を感じて」いても「最期の備えはしていない」のか、
細かな関係性がわからないのが残念ですが
独居高齢者の支援にどんなサービスが必要なのか、
考える役に立ちそうです。
勉強に飽きたら白書のコラムでリフレッシュ
白書にはこのほかにも、様々な情報が載っています。
全国各地の高齢化社会対策への取り組みなど、
なかなか興味深いコラムも載っていますので、
勉強に飽きたら少し眺めてみるのも
面白いかもしれません。