社会福祉士兼ライターの紙月日記

社会福祉士資格を持つライターが、社会保障に関するニュースや時事ネタ、娘の新生児脳梗塞などについて書くブログ

福祉のはなし

買い物弱者「推定700万人」! 知っておくべき「都市型」ケースとは

2014年の買い物弱者は700万――。
そんな驚きの推計結果が公表されました。

いったいなぜ、買い物弱者は増えていくのか。
増えることの何が問題なのか。

きょうはその辺を書きたいと思います。

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6年で100万人も急増

そもそも「買い物弱者」とは、
「流通機能や交通網の弱体化に伴って、
食料品等の日常の買い物が困難な状態にある人」

のことです。

そして、この「買い物弱者700万人」という数字。
これは、経済産業省が弾いた推計値です。

どんな計算式かというと、

内閣府が実施した、高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査で
「日常の買い物に不便」と回答した割合が17.1%

それに、60歳以上の人口推計をかけるのですが、その人口数は
2014年10月現在なら4198万人、2010年なら3928万人ということで、
両方の数字を使ってかけた場合のだいたい中間にあたる
約700万人の交通弱者がいると想定される
、という感じです。

この調査、実は2010年にも行われていて、
その時の推計値は「2008年時点で約600万人」でした。

つまり、わずか6年間で100万人の買い物弱者が増えた
という計算になるわけです。

他人事じゃない「都市型」買い物弱者

買い物弱者がいる地域としてぱっと思い浮かぶのは
住民もまばらな山間部や高齢化が進んだ限界集落などですが、
実は大都市に住んでいる人にも無関係ではないんです。

買い物弱者を考えるうえでは、地域を二つにわけて考えることが必要です。

それは、「500m以内に商店がない地域」「ある地域」

先ほど例に出した山間部などは「500m以内に商店がない地域」。
つまり、買い物に行きたくても、免許がないなどの理由で
物理的に行くのが困難なケースです。

それに引き換え、もう一つの「500m以内に商店がある地域」、
要はそれなりに都市部であるということですが、
こちらはまったく違う性質をもっています。

それほど遠くない場所に店はあっても、
土地の単価が高いため相対的に商品の価格が割高になって
余裕がない人には買い物がしづらくなっていたり、

少し郊外にイオンなどの大規模店ができたおかげで、
気軽に足を運べる商店街がどんどん廃れていき、
結果的に高齢者が買い物にいく意欲をなくしていたり、

といった状態が、都市部にいながらにして
高齢者を買い物弱者にしてしまっているのです。

そして、この「都市型」買い物弱者は、
地域のつながりの希薄化や核家族化が進んでいくなかで
東京や大阪などの大都市でも、
今後ますます増えていくおそれが極めて高いといえるでしょう。

問題の放置がコミュニティの衰退を招く

では、こうした状況を放置することで何が起きるでしょうか。

ひとつは、十分な栄養をとらないことで低栄養状態になり、
結果として介護状態になるのを早めたり、
医療費が増大したりする危険性
があります。

また、買い物弱者化することで生活への意欲が低下し、
引きこもり状態に陥ってしまう
ことも考えられます。

それがさらに悪化すれば、近隣とのつながりがなくなることで
その地域自体の活力が失われてしまいます

つまり、買い物弱者をめぐる問題は
単なる便利・不便といった次元の話ではなく、
コミュニティの維持・発展にかかわる問題なのです

現在はあまり都市型の買い物弱者には注目があたっていませんが、
行政はこうした問題もしっかり認識したうえで
将来を見据えた対応をする必要がありそうです。

福祉の専門職である社会福祉士としても、
今後支援の目を向けていくべき分野
ではないかと思います。

経産省の調査に関する細かい報告書は
こちらから参照できます。

かなり量が多いですが、興味深い内容ばかりですので
お時間のある方はのぞいてみてはいかがでしょうか。

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