社会福祉士兼ライターの紙月日記

社会福祉士資格を持つライターが、社会保障に関するニュースや時事ネタ、娘の新生児脳梗塞などについて書くブログ

時事ニュース

震災4年 食品の放射線リスクをめぐる対立のいま

3月11日。東日本大震災から4年。

「もうそんなに経ったか」という思いもありますが、
被災地の復興という意味では、前進したこともあるんでしょうけど
いまだに解決の糸口が見えない問題も多くあります。

今日はその中から、福島県産の食材問題について少し考えてみようと思います。

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福島産食材 大企業が活用する動き

先日読んだ朝日新聞(3月9日付朝刊)の記事によると、
大手企業の中に少しずつ、福島県産の農産物を
商品に使用しようという動きが広がっている
ようです。

記事中では、カゴメがトマトジュース用に南相馬で植物工場を立ち上げたり、
キリンビールが氷結の限定商品として福島のモモを使用したりと
具体例が挙げられています。

これはとても勇気のある決断だと思います。

特に震災から間もないころは、福島の食材だというだけで
消費者は徹底的に購入を避けていました。

いかに発生から時間が過ぎたとはいえ、
日本中に知られたメーカーがそういう決断をしたことに、
個人的には拍手を送りたい気持ちです。

住み分けが進んだ「リスクは無視できる」派と「影響ある」派

消費者の評判をとにかく気にする食品メーカーが、
なんでそんな決断ができたんでしょうか。

個人的には、食品の放射能リスクに対して、消費者の間で
「影響は無視できる」派と「絶対に影響がある」派が
ある程度はっきり住み分けをしたから
ではないかと思っています。

思えば、震災直後はどの情報が正しいのかさっぱりわからなくて、
みんな必要以上にいろんなことに注意していました。
食材選びはその最たるものだったと思います。

震災後、全国各地で食材の大規模な放射線量測定が始まり、
基準値を超えた食材はすぐに出荷停止措置に。

その後、食品について放射性セシウムの基準値が新たに設定され、
それに基づいて条件をクリアした食品については
出荷停止が解除されるようになりました。

国の「食品基準値」は適正か否か

ポイントは、この食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)が適正なのか、
受け止めが人によって大きく異なる
ことです。

国が定めた基準値だから、それに基づいて出荷されたものは安全だ
と考えるのか、
国が定めた基準値なんて信用できない。人体への影響は未確認だ!
と考えるのか。

これがすなわち先ほど挙げた
「影響は無視できる」派「影響ある」派にあたるわけですが、
両者の差って、突き詰めると個々人の信念だと思うんです。

どちらの立場も、それぞれ支持する研究者たちはいるわけですが、
たとえば無視できる派は「科学的に人体への影響は確認されていない」と繰り返し、
影響ある派は相手方の学者を「政府の御用学者」と批判する。

学術的にも心情的にも、どちらが正しいと断言できない中で、
こうした応酬が長い間続いてきたような気がします。

消費者のスタンスがほぼ固定化

ただ、震災から4年が過ぎて
食品の放射線リスクについての話題が減ってくる中で、
個々人がどちらのスタンスなのか、ほぼ固定化されてきました。

影響があると考える人たちは、今も食材選びに非常に慎重ですし、
無視できると考える人たちは、「福島を食べて応援!」的な
取り組みに、積極的に参加するようになっています。

このあたりの住み分けが明確になったことで、
食品メーカーにとっては、福島産の食材を使った商品は
比較的作りやすくなった
のではないでしょうか。

その商品が「影響ある」派に買われることはないでしょうが、
「無視できる」派の人たちになら、「福島支援」という社会的な意義も含んで
買ってもらうことは十分に考えられるからです。

こういう流れは今後ますます増えてくるとは思うのですが、
一方で、いまも福島県産食品の価格は震災前の水準に戻っていません

先ほどの朝日の記事によると、
首都圏での福島県産食品の買い控えは改善しているものの、
「依然として忌避感は強い」そうです。

一度深刻な問題が起こると、リカバリーをすることは極めて難しい。
「福島の復興」の難しさを、改めて感じます。

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