社会福祉士兼ライターの紙月日記

社会福祉士資格を持つライターが、社会保障に関するニュースや時事ネタ、娘の新生児脳梗塞などについて書くブログ

福祉のはなし

【道交法改正】「75歳以上の認知症患者は免許没収」になるって知ってた?

つい先日施行された改正道交法で、
自転車の安全対策が大きく変わりました。

信号無視や携帯電話を使いながら運転するなど
危険な行為を繰り返す人に対して
安全講習を受けるよう義務付けた内容です。

この施行をうけて、巷では
イヤホンをつけて自転車をこいでいた人が
警察に摘発されるなどの報告が相次ぐなど
てんやわんやな感じですが、

実はつい先日の11日、これとはまったく違う
福祉業界に深い関係がある、道交法の改正がありました。

きょうはその内容について取り上げます。

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「認知症対策」を強化した改正道交法

説明する前にひとつ注意点ですが
きょう紹介する内容は、将来的には実現するものですが、
まだ効力を生むわけではありません。

「法改正が成立したけど、まだ施行はされていない」
という状態ですね。
さらっと読むと勘違いしてしまうので、
その点を踏まえてお読みください。

というわけで本題に。

11日に成立した改正道交法のポイントは、
75歳以上の運転免許所有者に対して
認知症の疑いが生じた場合は医師の診断を義務付け、
発症していた場合は免許を取り消す
、ということです。

これだけ聞くとかなり衝撃的ですね。。。

現在の道交法だと、75歳以上の高齢者は
3年に1度の免許更新の際に、
記憶力と判断力を試す「認知機能テスト」を
受けることが義務付けられています。

テストの結果をもとに、
記憶力・判断力が低い1分類
記憶力・判断力が少し低い2分類
記憶力・判断力に心配がない3分類

に振り分けられ、

1分類の場合は道路の逆送や信号無視などの
一定の交通違反を犯した場合に
医師の診断が義務付けられています

2、3分類の場合は特に制約はありません。

今回成立した改正道交法では、
テストの結果で3分類に振り分けるまでは同じですが、
1分類と判定された場合は、違反の有無に関係なく
医師の診断を受けることが義務付けられる
ことに。

また、2、3分類の場合でも、
一定の交通違反を犯した人には臨時の検査を受けさせ、
その段階で1分類と判定されれば医師の診断を義務付け
ます。

どのケースでも、最終的に医師が
認知症だと診断した場合、免許を停止もしくは取り消しにする

という仕組みになっています。

一連の流れについて、朝日新聞の図がとっても
わかりやすかったので、引用しておきます。

doukouhou
(元の記事はコチラから)

背景にある「認知症高齢者の加害事故」

認知症と診断されれば免許の取り消し、というのは
行政としてはかなり厳しい対応だと思います。
何しろ、非常に活用頻度の高い資格を強制的に停止するわけですから。

そこまで厳しい内容を盛り込んだ法改正が
国会で成立したのには、もちろん理由があります。

それは、認知症の高齢者が運転手となって起きた
悲惨な事故が後を絶たない
こと。

先ほど紹介した朝日新聞の記事だと、
認知症男性が運転する軽トラックに
小学3年生の長男をはねられた男性の話が載っています。

長男はまだ意識が戻らず寝たきりだそうで、
本当に胸が痛みます。

認知症をめぐる支援で難しいのは、
本人がそれを受け入れるまでにすごく時間がかかる

ということでしょう。

それに、地方で暮らしている場合、
運転免許は生活に必須。
車なしでは買い物にだっていけません。

だから、たとえ家族が
「認知症かもしれないから運転もうやめたら」
とアドバイスしたとしても、

プライド的にも、生活的にも
本人がそれを受け入れることが難しく、
結果的に悲惨な事故を引き起こしてしまう

という悪循環があるのです。

施行までの2年間でやるべきこと

最初にこの改正道交法はまだ効力がないとお伝えしましたが、
施行までの期間は、最長で2年程度とされています。

つまり、2年後の2017年ごろにはほぼ間違いなく、
今回紹介した仕組みが運用され始めるということです。

厚労省の推計によると、
認知症患者は2025年までに700万人を超え、
65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症
という時代が近づいてきています。

いたましい事故を少しでも減らすために
今回のような法改正も必要になると思いますが、

それ以上に、認知症に対する理解を社会でもっと培ったり、
認知機能に不安を覚えたお年寄りが、
運転免許を自主的に返納しても地域で生きて行けるような
仕組み作りをしたりと、
もっともっとソフト的な対策もできるはず。

この2年間が、認知症を抱える高齢者にとって
救いとなる取り組みが少しでも進むように
福祉業界に関わる私たちが
全力で取り組んでいく必要があると思います。

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