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今度は「日本版ネウボラ」? 子育て支援のワンストップ窓口構想を解説!

世界でも例がない超高齢化社会が進行中の日本にとって、
子どもを増やすための子育て支援は
もっとも大事な政策の一つ。

政府も総合的な少子化対策を推進するなど
それなりの体制で問題解決に取り組んでいます。

その動きの一環で、興味深いニュースがありました。

子育て支援:窓口一つに 自民議連、法案提出へ
(毎日新聞 5月3日付朝刊)

mainichi
(画像は大阪本社デジタル版の紙面)

どういう中身なのか、詳しく解説したいと思います。

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記事のポイントは三つ!

記事の要点は以下の通り。

・妊娠初期から子どもの成人期までに及ぶ保護者支援を進める
「成育基本法」の制定を目指し、13日に議員連盟が発足する
フィンランドの出産育児相談所「ネウボラ」をモデルに、
一つの窓口で継続して支援ができる体制づくりを図る
・すでに全国各地にモデルとなる施設を設置済み。
医療と福祉の連携強化をさらに進めていく考え

水面下で進む「成育基本法」制定への動き

では順番にみていきましょう。

まず、「成育基本法」という名前。
初めて聞きましたが、実はこのワードで検索すると
それなりにヒットするサイトがあります。

日本小児学会は、会長が今年の年頭所感

「胎児から若年成人までの医療、保健、福祉を途切れることなく支援するための『成育基本法』を成立させることがわが国の母子だけでなく思春期の子どもや若年成人にも大いに資することになります」

と発言していますし、

日本医師会の中にある検討委員会も、
子どもの健やかな成育環境を整備するために
成育基本法の制定が必要であるとする答申

2013年10月に出しています。
(答申の内容はコチラ

さらにさらに、この答申を受けて、13年11月には
「成育基本法制定に向けての集い」なる催しが開かれていて、
facebook上にはグループも存在します。

こういう内容を見ていくと、
小児医療関係者や日本医師会を中心として
制定に向けて着々と準備が進んでいる
ようです。

先ほど紹介した答申で示された法律の原案では、
・胎児期から成人期に至るまでの過程を総合的に支援する
・国は法の定めに基づいて「成育基本計画」を策定
・地方自治体や医療関係者も連携して施策を進めていく

…といった内容の法律を目指すとされています。

この法律、近い将来必ず話題になると思いますので、
福祉関係者も覚えておいたほうが良いでしょう。

フィンランドの「ネウボラ」って何だ

続いてのポイントが、これまた初耳、
フィンランドの「ネウボラ」制度です。

以前こちらのエントリーでは
フィンランドの「ラヒホイタヤ」をモデルにして
国内の福祉職の統合を目指そうとする動きを紹介しましたが
今回はそれとも別。

まったくもって中身の予測ができないので
こちらも色々と調べました。

多分内閣府に何かしらの資料があるだろうなと思いましたが、
やっぱりありました。

内閣府が2013年に開催していた
「少子化危機突破タスクフォース」(第2期)の議論で、
ネウボラについて説明する資料がありました。

それによると、

・「ネウボラ」とは、フィンランド語で「アドバイスの場所」の意味
・「ネウボラ保健師」と呼ばれる専門職を中心に、後方支援チームや他職種連携を行いながら、妊娠から子の成人までの切れ目ない支援を展開する
・成育期に途絶えることなく対話を重ねることで、保護者との強い信頼関係が構築できる

というあたりが特長なようです。

全部引用するとキリがないので、
もっと細かく知りたい方は↓の元資料にあたってください。

ネウボラについて説明した資料はこちら
資料が提出されたときの会議の議事録はこちら
タスクフォース全体に関するサイトはこちら

すでに国内でモデル事業が進行中

この「日本版ネウボラ」の実現に向けた試金石として、
内閣府は昨年から、「子育て世代包括支援センター」を立ち上げました。

保健所や児童相談所、医療機関などとの連携を図り、
センター自体には保健師や助産師、ソーシャルワーカーなどを配置。
妊娠以降に必要な支援をワンストップで提供する
、としています。

kosodate_center
(模式図。画像の引用元はこちら

すでに愛知県名張市などで取り組みが先行していて、
今年度中には全国150市町村でのセンター設置を目指すということです。

どの程度効果がみられるのか、まだデータが確認できませんが、
来年以降にかけて着々と報告がでそろってくるでしょう。

「新たな法律」なら本当に機能するのか

ここまで、毎日新聞のニュースについて
細かい背景を解説してきました。

長くなったので改めて要点をまとめると、

「フィンランドのネウボラという制度をモデルに、
胎児期から成人期までの子育て支援を
ワンストップで行う窓口を整備するために
『成育基本法』という法律の制定を目指す動きが進んでいる」

というお話しでした。

現状の社会保障はあまりにも高齢者偏重だと思っているので
基本的には、子育て支援に前向きな体制をつくる動きは大歓迎です。

そういう意味では新法制定についても応援したい
ところではありますが、
一方で疑問もぬぐいきれません。

「子育て支援の新制度をたちあげます」
「支援者の業種を超えた連携を目指します」

こういう宣伝文句は、いままでもよく耳にしてきましたが、
果たしてそのお題目通りの効果があったんでしょうか。

最初に説明した通り、「成育基本法」の制定に向けては
日本医師会などの組織が猛烈なロビー活動を展開しています。

新法をつくれば、当然それに根拠づけられて
様々な新しい施設や制度ができ、大量の税金が投入されます。

うがった見方をすれば、
少なくとも、医師会などのお偉いセンセイ方の懐が
ますますあったかくなる結果にはなる
わけです。

基本法をつくることで、何が変わるのか。
本当に国民が果実を受け取ることができるのか。

まだ法案ですらない現段階では何とも言えませんが、
その点について十分注目していきたいと思います。

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  • 【紙月】
    紙媒体を中心に書くライター。
    福祉業界での実務経験がない中で、
    社会保障制度を詳しく学びたいと
    社会福祉士めざして一念発起。
    仕事の合間を縫って効率的な勉強法を実践し、
    第27回試験に一発合格。
    ツイッター @kamitsuki2



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