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日本版「ラヒホイタヤ」ってなに? ~福祉職の統合問題について掘り下げる~

公開日: : 最終更新日:2015/04/11 福祉のはなし

先日のエントリーで、
「厚労省が介護福祉士と保育士の資格統一を検討」…って本気!?
と題して、福祉職の資格統一を模索する動きがあることをご紹介しました。

その時は、「このニュースをやっていたのはNHKだけっぽい」
「きっとNHKにだけ情報を流して世論の反応を見ているんだ」
(キリッ
と、無駄な陰謀論めいたことを書いてしまいました。

しかし、今日、家にあった福祉新聞を見てびっくり!

hukusi

一面トップで「福祉職の統合を検討」って出てました

…全然陰謀なんかなかった。
テキトーなこと言ってて超恥ずかしい。

まあ、福祉新聞を読んだことでこの統合検討の背景に
どんな動きがあるのかちょっとわかりましたので、
恥ずかしさをごまかすついでに
今日はそれについて書きたいと思います。

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注目すべきは「創生サポートプラン」

まず大事なのは、この統合の動きが
何によって根拠づけられているのか、ということ。

行政の動きには、必ずその根拠となる行動計画だったり
有識者会議の答申だったりがある
わけですからね。
それを見ることで、背景がより深くわかるってものです。

先日見たNHKのニュースだと、その点について具体的な言及が
ありませんでしたが、福祉新聞の記事をみると、
それが「まち・ひと・しごと創生サポートプラン」だと判明しました。

このサポートプランっていったい何?って話ですが、
少子高齢化の進行に伴って労働力人口も減っていくなかで
人口減少の克服と地方創生を実現するためにとりまとめた取り組み方針
といったところでしょうか。

若年層の東京への集中現象が顕著になるなかで、
どうやって地方に仕事をつくって、人を呼び込むのか。
地域コミュニティを維持する方策をどう確保するのか。
そういうことを提言しているプランみたいですね。

このプランの中には
雇用対策や少子化対策についても言及があるんですが、
今回注目するのは医療・介護、福祉サービスに関する部分です。

その中に、はっきりこう書いてあります。

○ 今後、福祉サービスに関しては、人口減少の中で、人材確保やサービス提供が困難な地域が増加してくることから、利用者の利便性も勘案し、高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉、生活困窮者支援やひとり親支援など縦割りで提供されている福祉サービスの融合化を進めることが重要である。これにより、各サービスがコーディネートされ、ワンストップでサービス提供できる体制を構築することが必要である。
○特に中山間地域においては、日常生活に不可欠な施設や地域活動を行う場を「小さな拠点」として集約することが重要である。この「小さな拠点」において、医療や福祉サービスは重要な役割を担うことから、高齢者、障害者、子どもなどが分け隔てなく利用でき、専門的なサービスを受けられるとともに、居場所ともなるサービスを検討することが求められる。

長く引用しましたが、簡単にまとめると
これから地方は人口が減るし、それに伴ってサービス提供者も減るだろうから、
「小さな拠点」に機能と人材を集約して、いろんな福祉サービスを受けられるようにしようぜ!

っていう話のようです。

これが厚労省の考える基本方針です。
大事なポイントなので押さえておきましょう。
一連の元資料を見たい方はこちらへどうぞ。

モデルケースはフィンランドの「ラヒホイタヤ」

で、先ほど挙げた基本方針を実現するために
厚労省は、一人の職員が子供から高齢者まで、
様々な対象者にサービス提供ができるようにしたい
らしい。

そりゃそうだよね。
一人でなんでもできるスーパー職員がいれば
頭数が減っても対応できるかもしれないもんね。

でも、それって無理じゃね?っていうのは
前回も書いたお話しです。

なんですが、福祉新聞によると、
実はフィンランドにこの考え方のモデルになる
ケースがあるんだとか。

それが、「ラヒホイタヤ」という謎の呪文です。

…嘘です。呪文じゃなくて
フィンランドの社会・保健医療共通基礎資格なんですって。

この資格を持っていれば、福祉分野の色々な仕事に
横断的に従事することが可能になる
そうです。

と聞いてもわかったようなわからないようなですが、

福祉関係の一定の知識をカバーする統一資格を設けることで、
本人もスキルが上がって業界内で長く働けるようになるし、
在宅ケアでも、同じ人にケアを依頼できるので利用者も安心する

さらに、たとえば日中は保育園で働いた後、
高齢者施設のヘルパーとして働く、みたいなことも可能になる

みたいなメリットがあるそうで。

フィンランドでは、施設ケアから在宅ケアに移行する流れのなかで
この統一資格を導入したんだとか。

このあたりの説明はこのPDFに詳しく出ているので
興味がある方はぜひご覧あれ。

ちなみに、このPDFは2010年にあった介護人材に関して議論する
ワーキンググループで提出された資料のようです。
資格の統合ってどこからわいてきたアイデアなのかと思ってましたが、
実はそれなりの期間温めていたものなのかもしれません。

実際どうなるかは今後の議論次第

ここまで色々と資料を掘り下げてみましたが、
結局この方針が日本になじむのかどうか
僕はいまいち肯定的なイメージが持てません。

今後は厚労省内に検討チームが作られて
さらに議論が進められていく
ようですが、

理想的なお題目だけが先走って十分な人材育成や環境整備が行われず、
えらく中途半端で使いづらい福祉職が増えてしまう
みたいな結果にならないようにしてほしいですね。

…絶対そうなる気がするので、
やっぱりこの問題は注意深くチェックすることにします。

ではでは。

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Comment

  1. CNA より:

    参考になります。毎日にも記事が出ましたので、Wikipediaに記事を立てました。
    http://mainichi.jp/select/news/20150411k0000m040155000c.html

    その結果、エリートのお役人さん達は勘違いをしているのではと思いました。たとえ話をすると、高校で、1年目はみんな同じ授業を受けているけれど、2年で「普通」「理系進学」「文系進学」「情報処理」「英語」「保育」「福祉」とコースが分かれて、共通する授業もあるけれど、専門の授業も受け始めて、3年になったらもっぱら専門の授業を受けて卒業したとしましょう。これで「○×高校卒」というのは一緒ですね。でも、高校を卒業した生徒は、理系でも文系でも進学可能、情報処理の仕事も英語の仕事もできて、保育所でも福祉現場でも働ける、とは思いませんよね。

    この「高校」というのをフィンランドの「ラヒホイタヤ」という教育制度に置き換えて考えて、もう一度、毎日の記事を見ると、不可能ではないかと思いませんか。

    とにかくラヒホイタヤは3年の過程です。日本でも「福祉の仕事がしたければラヒホイタヤの訓練校に3年通え」となるのでしょうか。

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  • 【紙月】
    紙媒体を中心に書くライター。
    福祉業界での実務経験がない中で、
    社会保障制度を詳しく学びたいと
    社会福祉士めざして一念発起。
    仕事の合間を縫って効率的な勉強法を実践し、
    第27回試験に一発合格。
    ツイッター @kamitsuki2



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